日本の衛星測位システムについて
準天頂衛星「みちびき」が運用されています
準天頂衛星「みちびき」は、「準天頂軌道」という日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ人工衛星で、日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも、測位できる場所や時間を広げることができます。
この「みちびき」を活用した準天頂衛星システムは、補強信号の送信等により、これまでの5m-10m程度の誤差だったGPSに比べて、単独でcm級へ測位精度の向上が期待できます。
衛星測位システムはカーナビ以外にも、地図作りや建築作業に欠かせない測量、子供や高齢者の見守りサービス、農業機械等の自動制御、地震や火山の検知など、応用範囲が広がっており、それに伴い精度や信頼性の向上等の高度化が求められています。
準天頂衛星システムにより測位精度が上がり、位置がcm単位で把握できるようになると、これまでにない位置情報を活かしたサービスも生まれる可能性が広がっていきます。
みちびきは、2018年1月現在、既に4機の衛星が打ちあがっており、2018月11月1日からサービス開始されています。
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 みちびき特設サイトより引用(2017/12/20)
http://qzss.go.jp/index.html
準天頂のサービスエリア
信号 | サービスエリア | 精密度 | TTFF | CORS | データサイズ |
---|---|---|---|---|---|
CLAS | 日本周辺 | cmレベル | 1−2分 | 20〜30km間隔 | 2kbps 日本向け |
MADOCA | QZSSのカバーエリア | cmレベル | 30分 ※ローカルデータ適用の場合1−2分 | 世界に約100 | 2kbps 世界向け |
みちびきの信号と特徴
衛星からの送信信号には、いくつかの周波数の信号が存在します。
これらの信号から複数の周波数の信号に受信機が対応できると、電離層による誤差を軽減することができます。
また、みちびきではセンチメータ級の高精度測位を実現するために、L6帯に補正情報を含めた信号を送信しています。
中心周波数 | 信号名称 | 配信サービス |
---|---|---|
1575.42MHz | L1C/A | 衛星測位サービス |
L1C | 衛星測位サービス(耐マルチパス) | |
L1S | サブメータ級測位補強サービス | |
L1Sb | SBAS配信サービス | |
1227.60MHz | L2C | 衛星測位サービス |
1176.45MHz | L5 | 衛星測位サービス |
1278.75MHz | L6 | センチメータ級測位補強サービス |
『みちびき』各機のL6信号
1号機 | 2号機 | 3号機 | 4号機 | |
---|---|---|---|---|
衛星番号 | 193 | 194 | 199 | 195 |
軌道 | 準天頂 | 準天頂 | 静止 | 準天頂 |
チャネル1 | CLAS | CLAS | CLAS | CLAS |
チャネル2 | – | MADOCA | MADOCA | MADOCA |
準天頂衛星利用によるメリット
従来のRTK方式
GNSS衛星のクロック誤差や電離層通過による電波遅延などに対する補正データ(RTCMデータ)を地上の基準局が生成し、無線通信等を介して移動局側に送信します。
これによりcm級の測位精度を実現。
準天頂衛星(L6帯)配信の補正データを利用
cm級の測位精度が基準局無しで単独で得られるため、基準局の設置に必要なコスト(機器コスト、設置コスト、通信コスト等)が一切不要となり、手軽に高精度の位置情報を得ることができます。